ワニちゃんの話 その1

本当にあった昭和の話

さて、今日は昭和時代後期のお話をしましょう。

危なげで愉快なワニちゃん

昭和60年、西暦ですと1985年頃の話です。 

バブル経済の少し前くらいの頃ですね。

当時私は、20代前半。私にも若いころはありました。(笑)

北関東の田舎の小さな診療所にて、受付事務として勤務しておりました。

内科と整形外科だけの、本当に小さな診療所です。

待合室は地元のお年寄りが押し寄せ、やれ薬だ、注射だ、リハビリだ、

と毎日外来は忙しかったです。

とはいえ、田舎の診療所は呑気で平和な職場でした。

・・・が、ときどき物騒な出来事がありました。

診療所の近くに反社会的組織の事務所がありました。

数字で表しますと893さんの事務所ですね。 大元は関西の●●会系●●組とかなんとか・・・

そこにワニちゃんという、その物騒な組織の事務所の中では下っ端らしき男性がいました。

ワニちゃんはワニのような顔をしていて、とても怖い感じの人です。

いつも派手な色のジャージの上下を着て診療所に現れます。

そして受付窓口に来て

「あーだまいでんだよう。眠れねえんだあ。。。」

訳:頭が痛いんだよ。眠れないんだ。

と言って、診察を受け、眠剤を1か月分処方してもらっていました。

でも、私たち事務員も院内薬局の薬剤師も、ワニちゃんが薬を何か悪いことに使っているに違いないと疑っていました。

当時、裏社会では一部の眠剤が、今で言うドラッグのような危険な使い方をするために

高値で取引されていることを噂で知っていました。

でも、医者が診察をして処方していますから、なんら文句のつけようがありません。

ときどき、薬剤師のお姉さんに、

「ワニちゃん!薬、高値で横流ししてるんじゃないでしょうね!?」

なんて言われ、

「そんなことするわけねーべ!」

とか言ってました。

ワニちゃんは顔は怖いですが、私たち診療所の職員には優しく、

いつもふざけて面白いキャラだったのです。

いろいろ怪しい感じはありましたけどね。

カオスな待合室

ある日、ワニちゃんはかわいらしいお花と猫のアップリケのついたエプロンをつけて

病院へやってきました。

エプロンの下はいつもの派手な色のジャージです。

何故か女性もののつっかけサンダルを履いています。

ワニちゃん。書いてみた。ぷ。

何故エプロンをしているのか尋ねると、

「今日は俺、料理当番だからよう。俺のときはいつもカレーにすんだ。

カレーしか作れねえしよ。へへへ。」

ワニちゃんの事務所では若い衆が数人で共同生活をしていて

料理を当番制でやるそうなのです。

待合室のソファーには常連のお年寄りの皆さんがみっちり座っておられます。

座る場所もないワニちゃんは、派手なジャージにかわいいエプロンをして怖い顔して

おばあちゃんたちに囲まれるように待合室の真ん中に突っ立っています。

想像してみてください。

・・・カオスです。

しかし、その日のワニちゃんは、いつもに増してテンションが高かったのです。

何故か?

その理由を知って、私は恐怖のあまりあやうく失禁しそうになるのです。

続きは次回にします。

閲覧ご注意願います。

グロテスクな内容が含まれますので、心臓に自信のない方はご遠慮ください。

ワニちゃんの話 その2へ続く



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