母のマイペースエピソード

家族と身近なこと

母は本当に個性的といいますか

現在87歳のお婆ちゃんですが

若いときからおかしな人でした。

今日あげるのは、過去のほんの一例。

今は亡き父のとぼけたファインプレーで私はかなりイライラしましたが

今思い起こすと、笑ってしまうエピソード。

送り迎えを頼まれる

父もまだ健在だった20年くらい前の話です。

その日は日曜日。

当時うら若き60代の母から

和服の展示会に誘われて行くことになったから

駅まで送ってほしいと頼まれ・・・

何時に駅へ送って行けばいいか尋ねると

逗子(神奈川)ゆきの8時53分に乗るからそれに間に合うように頼むと。

(うちは、栃木県です。)

次の駅で誘ってくれた友人が乗ってくるので

4両目で待ち合わせだとのこと。

ところが調べてみると、

逗子ゆきの8時53分なんて

そんな電車は存在しない。

しかも、行き先は路線違いの「浅草」だという。

逗子行きの電車で「浅草」にはたどりつかないので

途中で地下鉄かなにかに乗り換えるのだろうけど

どんな乗り換えで行くつもりなのか

何度聞いても要領を得ない回答ばかりの母。

しつこく問い詰めると怒り出したので

駅まで送って行きゃあいいんだから・・・

もう、いいや。知らんがな。

そんな気持ちになった。

もし友人と会えなかったら、TELをかけてくるだろう。

携帯は持ってないけど、駅には公衆電話があるし。

そんな軽い気持ちでいたのだが・・・・。

母行方不明

私は母を駅まで送り、母は「帰りは駅から電話するから」と言って車を降りて

いそいそと駅構内へ向かって行きました。

私はその後ろ姿を見送って帰宅しました。

一時間後、4両目の車両で待ち合わせる予定だった友人から家に電話。

母が約束した電車に乗ってないという。

友人はかなり慌てていた。

今、乗り換えの大宮駅から公衆電話でかけているという。

行き先は「熊谷」(埼玉県)とのこと。

宇都宮線から高崎線に乗り換えるために大宮で降りたというわけ。

私には会場は「浅草」(東京都)と言っていたのに。

???

公衆電話はぷっつり途中で切れた。

その友人も母も、ケータイなんて持ってない。

それから30分して自宅の電話が鳴った。

母だと思ったら、さっきの友人だった。

今度は熊谷駅からかけているようだ。

とりあえず、会場へ行ってみるという。

これ以上ご迷惑をかけても申し訳ないので、

どうぞお先に向かってください。と言って切った。

気がきく父

待っても待っても、母からTELはない。

方向違いの電車に乗ったのか

乗り遅れたか・・・・。

そもそも会場を間違って認識している。

浅草まで行けたとして

違うとわかって熊谷まで一人で行けるだろうか。

迷ったとしても、電話くらいはできるはず。

でも電話はない。

さすがに心配になったので、私は父に言った。

「駅へ行ってみる。いなかったら駅員さんに聞いてみる。

機械は使えないから、絶対に窓口で駅員さんから手渡しで切符を買ってるはずだから

もしかしたらどこ行きの切符を買ったか駅員さんが覚えているかもしれない。」

すると父は・・・

「これを持って行け。」


と、母が写った写真を渡してくれた。

おおお~(ToT)

なんと気がきく父だろうか!

なるほど。写真を駅員さんに見せたら、すぐに思い出すかもしれない。

うん。さすがお父さん!

と、思ったが、その写真は

何故だか、郷ひろみのそっくりさんのショーを

見にいったときの写真で・・・汗

左に派手な衣装のそっくりさん、真中に母、右に友人の女性が

3人並んでうつっているものだった。

郷ひろみそっくりさんショー記念写真

慌てていた私は、まあとりあえず母が写っていればいいや。

と思って、急いで駅にむかった。

それは郷ひろみのそっくりさんです(泣)

私がもう少し、ちゃんと見てやれば・・・

こんなことにならなかったかもしれない。

ぜんぜん方向違いの電車に乗っちゃったのかな。

路頭に迷う母を想像し

私は涙目になりながら駅へ向かった。

小さな町の小さな駅ですから、改札口も窓口もひとつしかありません。

窓口で駅員さんに声をかけてみた。

「あの・・・すみません。

今朝この人、この駅から電車に乗ったんですけど

どこ行きの切符を買ったか覚えてませんか?

機械は扱えないので必ずこの窓口で切符買ってるはずなんですが・・・

行方不明になっちゃったんです。」

私は、写真の母を指差し、駅員さんに聞いてみた。

深刻な表情だったと思う。

駅員A「う~ん。ちょっとわかんないねー。お客は、いっぱいいるからねー。」

そういいながらも、その駅員さんは、写真を持っていって

他の駅員さんにも聞いてくれた・・。

駅員A「この人・・・今朝見た?」

他の駅員さんもわからないようだった。

が!

よくみると写真を指さしてるのが母じゃなくて

郷ひろみのそっくりさんになってる。

「その人じゃありません!隣のおばさんです!

それは郷ひろみのそっくりさんです!

駅員A「ああ~この真ん中の人ね。」

・・・と、また別の駅員さんに、聞いてくれている。

今度はちゃんと、真ん中の母を指さしているようだ。

が!

駅員B「こんな目立つ人だったら、おぼえてるはずだなあ。」

見てる人が、母を見てない!

「その人じゃないんです!

それは、郷ひろみのそっくりさんです!

泣きたくなった。

なんで、アタシここでこの人の宣伝してるの。

・・・つーか

なんでこの写真をよこしたの?

お父さん・・・・!!

結局、なんの収穫も得られず帰宅した。

帰宅すると・・・父は

「逗子までいっちゃったのかな。」

と、さも口ぶりは心配そうだが

寝転がって、ラジカセで演歌カラオケをきいている。

カセットテープを止める気はさらさらない。

自力で捜査

三時間後、友人からもぷっつりと連絡がないので

ものすごく心配になり・・・

母が行く予定だった展示会の和服問屋の会社を

他の知り合いに電話をして教えてもらい、

インターネットで調べ、本部の電話番号をつきとめ、問い合わせた。

すると、なんと母はその友人より先に会場へ

到着していたらしいことが判明した。

しかもなんとか二人はおち会えたようだ。

あとからわかったことだが

誘ってくれた友人というのは、和服問屋の職員のようだった。

本人からも、友人からも夜まで何も連絡がない。

さすがの私も怒り心頭ですわ。

私の怒りはMAX

夜になって、母から電話があった。

「迎えに来て~♪駅にいるからぁ~♪」

ノーテンキな声の母を迎えにいくと

今日の騒動は全く意に介さず

友人と楽しく一日過ごしたことを笑顔で伝え・・・。

私は、内心ブチ切れていたが

今朝の母の行動を丁寧にきいてみた。

母は、友人と約束した電車には乗ったのだが

待ち合わせの車両には行かず・・・


(4両目で会う約束を忘れたのかどうかは不明)

友人が乗ってくる停車駅で、

勝手に電車を降り、乗り換えたという。

何故そんなことしたのか問い詰めると

熊谷って、でっかくかいてある電車が向かいのホームに止まってたから

それに乗れば間違いなく行けると思ったから。」

(なんだと・・・それは友人が乗ってくる停車駅ではなく、乗り換え駅の大宮のことではないのか?

それに、会場が熊谷だってはじめからわかっていたのか?では朝私に言った浅草とは何だったのか?

熊谷駅までは行けたとして、会場までの道のりはどうやって行ったのか?)

私の頭に浮かぶ数々の疑問をよそに、母は能天気。

「○○さんにも会場で会えたし~♪」

(電話してきた友人も友人だ。

心配させるだけさせて、あと知らんぷりかい。)

私は母に言いました。

「私には、浅草ってゆったじゃんか!!」ヾ(。`Д´。)ノ

「あ、そう?」(゜O゜)

「あ、そうって・・・」

母は宇宙人ではないかと、その当時は思っていた私です。笑。

元気はつらつとしてやりたい放題な母でしたが

そんな楽しかった思い出も、記憶のかなたに置いてきてしまったようです。

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